NEWS & BLOG | 神保町の小宮山書店 / KOMIYAMA TOKYO

メニュー

小宮山書店 KOMIYAMA TOKYO

News & Blog

三島由紀夫 限定本三種 「岬にての物語」のご紹介です。Yukio Mishima ” A Story at the Cape 2 ” limited version

2020 年 5 月 8 日 | カテゴリー : 文学・人文

中二階より本の紹介です。

前回の「春の雪」試作本 に続きまして今回は「岬にての物語」の限定本三種類の紹介です。

三島由紀夫自身はこの小説の事を講談社「私の遍歴時代」にこう書いています。「昭和二十年早春にいよいよ赤紙が来たとき、私は気管支炎で高熱を発しており、それを胸膜炎とまちがえられて、即日帰郷になったいきさつなどは、ほうぼうへ書いたから、省略するが、赤紙が来ようが来まいが、一億総玉砕は必至のような気がして、一作一作を遺作のつもりで書いていた。終戦にまたがって書きつづけた「岬にての物語」も、そういう作品の一つである。こんな気分は、よほど強烈な影響を、成長期の心に与えるものとみえて、いまでも、核戦争を必至のように考えがちなのは、過去の一時期の感情体験を、未来へ投影するせいかとも思われる。」このように、大東亜戦争末期の先の見えない閉塞感が三島由紀夫の持つ死に対する清潔な美意識の構築に大きな影響を及ぼしていて、泉鏡花作品のような日本的な幻想美を強く感じる短篇と評されています。

「岬にての物語」の限定本は三種類あり、内函は共通のデザインになっています。

こちらが限定300部本 三島由紀夫の毛筆署名入 そして少女像に蕗谷虹児の手彩色挿絵が1葉入っています。

 

詳細と購入はこちらからどうぞ。

次はこちら 通称著者本といわれおり限定50部。 美しい黒スウェード革装で署名と手彩色は別々のページに書かれています。

 

詳細と購入はこちらからどうぞ。

 

そして最後に紹介するのが著者本限定50部の内のさらに30部だけの蕗谷虹児肉筆の少女像が1葉入っているこの限定版です。

 

 

詳細と購入はこちらからどうぞ。

 

いずれの限定本の最後には三島の書いた「蕗谷虹児氏の少女像」という一文が掲載されています。

「蕗谷虹児氏の作品は幼いころから親しんで来たものであるが、今度私の二十歳のときの作品「岬にての物語」を出版するに当たり、氏の画風ほど、この小説にふさはしいものはないと思はれたので、お願いをして快諾を得た。更に口絵の百合の花束の少女像は、今や老境にをられるこの画家が、心の中深く秘めた美の幻を具現してあますところがない。その少女のもつはかない美しさ、憂愁、時代遅れの気品、うつろひやすい清純、そしてどこかに漂ふかすかな「この世への拒絶」、「人間への拒絶」ほど、「岬にての物語」の女性像としてふさわしいものはないばかりでなく、おそらく蕗谷氏の遠い少年の日の原体験に基づいてゐるにちがいないこの美のわがままな映像が、あたかも一人の画家が生涯忘れることの無かつた清らかさの記念として、私に深い感動を与へたのである。」三島は限定本にふさわしい画家として蕗谷虹児を指名したそうです。この本に相応しい装丁を完璧なまでに作り上げた三島由紀夫の野心がこの限定本には有るように思います、そしてそれを所有する喜びを満たすだけの美しさを感じます。是非ご注文をお待ちしております。