三島由紀夫が11歳の時に起こった二・二六事件が題材の短編小説に「憂国」があります。その短篇は自身の手により映画化をしています。この本はその映画のスチール写真69枚を掲載し、「憂国 映画版」として書籍化したものです。原作・制作・脚色・監督は三島由紀夫、演出は堂本正樹、制作並びにプロダクション・マネージャー 藤井浩明。1965年制作、35㎜白黒スタンダード版 フィルム約772m 上映時間28分の短編映画でした。
三島由紀夫はこの作品の重要性を、この本の「製作意図及び経過」の冒頭に語っています。
「この小説は私にっとっては忘れがたい作品で、わずか五十枚たらずのものながら、その中に自分のいろんな要素が集約的に入っている作品と思われるので、もし私の小説を一編だけ読みたいという人があったらば、広く読まれた「潮騒」などよりも、むしろこの「憂国」一編を読んでもらえば、私という作家のいいところも悪いところもひっくるめて、わかってもらえるように考えている。それだけ愛着の深い作品であるから、私はこの映画化の企画があることを知りながら、その企画に対してはいつも疑問を抱いてきた。普通、長編小説を映画会社に売る場合に、私はむずかしい注文は出さない主義で、映画という別の表現手段で自由に解釈されるままにまかせてきたが「憂国」だけはどうしてもそうしたくない気持ちがあった。」とあります。「憂国」だけは自身で映像化しなければならない理由があった訳です。
自身の小説を自身で映画化する。そして作品自体は海外で非常に高い評価を得て、上映の商談が相次いだそうです。映画版「憂国」は、その映画を一冊にまとめて三島由紀夫の美学を私たちに語ってくれる必須のアイテムのように思えます。当店の在庫には献呈署名入りとそうでないものが有ります。是非ご注文をお待ちしております。
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